賃料増減額請求の判例まとめ|借地借家法32条の解釈・固定資産税増減・近隣相場の証明方法【2026年版】

📅 情報基準日:2026年5月現在

借地借家法32条は、建物賃貸借において「賃料が不相当になったとき」に増額または減額の請求ができると定めています。経済情勢の変動・固定資産税の増減・近隣相場との乖離がある場合に活用される権利で、両当事者から請求できます。ただし「相当賃料」の立証が難しく、裁判所でも不動産鑑定が重要な証拠となります。

目次

賃料増減額請求の要件(借地借家法32条1項・3項)

「賃料が不相当になったとき」とは以下の事情が変動した場合を指します:

  • 土地・建物に係る租税等の増減(固定資産税・都市計画税等)
  • 土地・建物価格その他の経済事情の変動(物価上昇・不動産市況の変化)
  • 近傍同種の建物の賃料の比較(近隣相場との著しい乖離)

賃料増額請求中の借主の支払義務

賃料増額請求をめぐる重要な実務ルール:

  • 増額請求を受けた借主は、相当と認める額(通常は従来の賃料)を支払えばよい(借地借家法32条2項)
  • 裁判(調停・訴訟)で増額が確定した場合、確定前の支払い不足分には年1割の利息が加算される
  • 逆に減額請求を受けた貸主は、相当と認める額の受領を拒絶できる(ただし供託で対応できる)

「継続賃料」の鑑定と裁判所の判断

裁判所での賃料増減額請求訴訟では、不動産鑑定士による「継続賃料鑑定」が重要な証拠となります。継続賃料の鑑定手法(不動産鑑定評価基準):

  • 差額配分法:近隣の新規賃料(正常賃料)と現行賃料の差額を双方に配分
  • 利回り法:不動産価格に基準利回りを乗じた賃料を基礎とする
  • スライド法:指数(CPI等)の変動に基づいて賃料を修正
  • 賃貸事例比較法:近傍同種の建物の更新賃料事例と比較する

定期借家契約での賃料増減額請求の特則

定期建物賃貸借(定期借家)では、特約で賃料増減額請求権を排除できます(借地借家法38条7項)。「賃料の改定がない」旨の特約がある定期借家では、原則として一方的な賃料増減額請求ができません。この点は普通借家との大きな違いです。

FAQ

Q. 賃料の値上げを要求されましたが、応じる義務はありますか?

A. 貸主から賃料増額請求があっても、その額が「相当」かどうかを協議する権利があります。協議が整わない場合は調停(裁判所の民事調停)→訴訟という手続きを経て「相当賃料」が確定します。確定前は従来の賃料を支払い続ければよく、後から差額(+利息)を支払うことになります。

Q. 固定資産税が上がったことを理由に賃料を値上げしたいのですが、いくら請求できますか?

A. 固定資産税の増額は賃料増額請求の「正当な事由」の一つですが、増税額の全額を賃料に転嫁できるわけではありません。近隣相場・経済事情等を総合的に考慮した「相当賃料」が判断基準です。まず不動産鑑定士に継続賃料の試算を依頼することをおすすめします。

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この記事の監修:ゆうぜん

不動産四冠ホルダー(宅建士・管理業務主任者・マンション管理士・賃貸不動産経営管理士)
現場実務の知見と、e-Gov(法令検索)裁判所(判例検索)RETIOの公的データに基づき情報発信しています。

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本記事は執筆時点の判例・法令に基づきますが、個別の法的判断は弁護士等の専門家にご相談ください。正確性・完全性を保証するものではありません。


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この記事を書いた人

宅建士・マンション管理士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士合格。現在はサラリーマン兼大家業に従事。

不動産資格四冠全て合格した見識、さらに国交省やe-Govの最新統計データを基に情報発信中。

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