相続放棄後の不動産管理義務と損害賠償|改正民法2023年施行後の新ルールと判例【2026年版】

📅 情報基準日:2026年5月現在(2023年4月施行 改正民法対応)

相続放棄をしても、相続財産(不動産)の管理義務が完全に消滅するわけではありません。2023年4月施行の改正民法で、相続放棄後の管理義務のルールが明確化されました。「放棄したから関係ない」という誤解が多いテーマですが、判例と改正民法を正確に理解することが重要です。

目次

改正民法940条の新ルール(2023年4月施行)

改正民法940条は、相続放棄後の管理義務について以下のルールを定めています:

  • 相続放棄をした者(放棄者)は、相続財産を「現に占有している場合」に限り、相続財産の管理を継続する義務を負う
  • 管理義務は、「相続人が財産管理を始めることができるまで」または「相続財産清算人が選任されるまで」の間
  • 改正前と異なり、現に占有していない放棄者には管理義務は課されない(改正の最大のポイント)

改正前の最高裁判例との違い

改正前(2023年以前):最高裁平成28年1月18日判決では、相続放棄者も「相続財産管理者が選任されるまで」管理義務を負うとされており、占有の有無に関わらず責任が問われる可能性がありました。特に建物の工作物責任(民法717条・管理者責任)が問題となった事例がありました。

改正後:「現に占有している場合に限る」という要件が明確化され、空き家を占有していない放棄者への責任追及が限定されました。

現に占有している場合の管理義務の内容

  • 自己の財産と同一の注意義務(固有財産の管理と同程度の注意)
  • 建物・工作物の保存に必要な修繕・保護措置(屋根の崩落防止・フェンスの設置等)
  • 管理に必要な費用は相続財産から支出(放棄者の個人財産からは原則負担不要)

相続土地国庫帰属法との連携

2023年4月施行の「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(相続土地国庫帰属法)により、一定の要件を満たす不動産を国庫に帰属させることが可能になりました:

  • 対象:相続(遺贈含む)で取得した土地(建物がある土地は原則対象外)
  • 要件:境界が明確・土壌汚染なし・抵当権等なし・第三者の使用がないこと等
  • 負担金:10年分の管理費用相当額(農地20万円・宅地等地目により異なる)
  • 利用場面:相続した空き地・農地を保有し続けることが困難な場合の出口手段

FAQ

Q. 親の借金が多いため相続放棄をしましたが、実家(空き家)の管理責任は残りますか?

A. 改正民法940条により、「現に占有していない」場合は管理義務を負いません。ただし実家に荷物を保管している・鍵を持ち続けているなど「現に占有している」と判断される状況では管理義務が残る可能性があります。空き家を占有状態から解除(荷物の撤去・鍵の返却等)し、利害関係人として相続財産清算人の選任申立てを検討することをおすすめします。

Q. 相続した農地を誰も使わず、管理が難しいため国に返したいと思っています。相続土地国庫帰属法は使えますか?

A. 農地も相続土地国庫帰属法の対象になります。ただし農地の場合、要件として「農業委員会が管理を引き受けられる状態」である必要があります。負担金は一般的な農地で20万円程度が基準ですが、地目・面積・立地によって異なります。法務局(法務局本局の担当部署)に相談窓口があるのでまず問い合わせてください。

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この記事の監修:ゆうぜん

不動産四冠ホルダー(宅建士・管理業務主任者・マンション管理士・賃貸不動産経営管理士)
現場実務の知見と、e-Gov(法令検索)裁判所(判例検索)RETIOの公的データに基づき情報発信しています。

免責事項

本記事は執筆時点の判例・法令に基づきますが、個別の法的判断は弁護士等の専門家にご相談ください。正確性・完全性を保証するものではありません。


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💡 四冠ホルダーからの一言:不動産に関わる法律は頻繁に改正されます。本記事執筆時点の情報をベースに、常に最新の法令・通達を確認する習慣をつけることをおすすめします。

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この記事を書いた人

宅建士・マンション管理士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士合格。現在はサラリーマン兼大家業に従事。

不動産資格四冠全て合格した見識、さらに国交省やe-Govの最新統計データを基に情報発信中。

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