📅 情報基準日:2026年4月1日(借地借家法 施行日時点)
アパート・マンションを賃貸する際の法律関係は借地借家法が規律しています。民法の特別法として借主保護の観点から規定が設けられており、宅建試験でも毎年出題される重要論点です。本記事では普通借家契約と定期借家契約の違いを中心に解説します。
借地借家法が適用される建物賃貸借とは
借地借家法は、建物の賃貸借に適用されます(土地の賃貸借は借地権に関する規定が適用)。建物の用途は問わず、居住用・事業用ともに適用されます。なお、一時使用のための賃貸借には適用されません(借地借家法第40条)。
普通借家契約の基本ルール
存続期間
建物賃貸借の存続期間は1年以上で設定します(借地借家法第29条)。1年未満の期間を定めた契約は「期間の定めのない契約」とみなされます。
契約の更新ルール
| 状況 | ルール |
|---|---|
| 期間満了前に通知なし | 法定更新(同一条件で更新されたものとみなす) |
| 貸主が更新拒絶する場合 | 期間満了の1年前〜6ヶ月前に更新拒絶の通知が必要+正当事由が必要 |
| 借主が更新拒絶する場合 | 期間満了の1年前〜6ヶ月前に通知(正当事由不要) |

正当事由とは(貸主からの解約・更新拒絶に必要)
貸主が更新を拒絶したり、途中解約(解約申し入れ)をするためには正当事由が必要です(借地借家法第28条)。正当事由の判断は総合的に行われます。
正当事由の主な考慮要素
- 貸主・借主が建物の使用を必要とする事情(主要因)
- 建物の賃貸借に関する従前の経過
- 建物の利用状況
- 建物の現況
- 立退料の提供(補完的要素)
「立退料さえ払えば正当事由になる」というわけではなく、あくまで補完的な要素です。
解約申し入れのルール
- 期間の定めがある場合:原則として期間中途の解約申し入れはできない(特約があれば可)
- 貸主から解約申し入れ:申し入れ後6ヶ月経過で解約効力発生(正当事由必要)
- 借主から解約申し入れ:申し入れ後3ヶ月経過で解約効力発生(正当事由不要)
定期建物賃貸借(定期借家)
定期借家契約は、更新なしで期間満了により確定的に終了する賃貸借契約です。貸主にとって確実に物件を返還してもらえるメリットがあります。
定期借家の要件(厳格)
- 書面による契約(公正証書等の書面が必要)
- 更新がない旨の説明書面を契約前に借主に交付・説明
- 1年未満の期間設定も可
定期借家の中途解約
貸床面積200㎡未満の居住用建物の場合、借主は転勤・療養・親族の介護等のやむを得ない事情があれば中途解約ができます(申し入れから1ヶ月後に解約効力発生)。
まとめ・ポイント整理
- 普通借家の期間は1年以上(1年未満は期間の定めなし扱い)
- 貸主の更新拒絶・解約申し入れには正当事由が必要(借主側は不要)
- 貸主からの解約申し入れは6ヶ月経過後、借主は3ヶ月経過後に効力発生
- 定期借家は書面による契約+書面による事前説明が必須要件
- 立退料は正当事由の補完要素であり、支払えば必ず認められるわけではない
よくある質問(FAQ)
Q. 賃料の値上げに借主が応じない場合、貸主は退去させられますか?
A. 賃料増額は正当事由の有無とは別の問題です。賃料増額を拒否しただけでは退去事由にはなりません。増額が折り合わない場合は最終的に訴訟(賃料増額請求訴訟)で決まります。
Q. 借主が無断で第三者に転貸した場合はどうなりますか?
A. 貸主の承諾なく転貸した場合、貸主は契約を解除できます(民法第612条)。ただし背信行為とみなされない「特段の事情」がある場合は解除できないとする判例もあります。
Q. 定期借家契約の賃料は交渉できますか?
A. 定期借家では「賃料改定特約」を定めることで賃料増減額請求権を排除できます(借地借家法第38条7項)。賃料固定型の定期借家は貸主・借主双方にとって明確な契約です。
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