【判例解説】賃料増減額請求権と正当事由|借地借家法32条の要件と最高裁の判断基準

【判例解説】賃料増減額請求権と正当事由|借地借家法32条の要件と最高裁の判断基準

📅 情報基準日:2026年4月17日

賃料は一度決めたら変えられないわけではありません。借地借家法32条による賃料増減額請求のルールと、この分野の重要判例を宅建士が解説します。

目次

借地借家法32条:賃料増減額請求権

借地借家法32条は以下を定めています:

【判例解説】賃料増減額請求権と正当事由|借地借家法32条の要件と最高裁の判断基準

建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。

増減額請求の要件(4要素)

  1. 租税その他の負担の増減:固定資産税の増減
  2. 土地・建物の価格変動:地価・建物価格の上昇・下落
  3. 経済事情の変動:インフレ・デフレ・景気変動
  4. 近傍同種建物の賃料との比較:近隣の相場との乖離

これらの要素が「現行賃料を不相当」にした場合に請求できます。

重要な判例のポイント

賃料不増額特約は32条に反する?

最高裁(平成15年10月21日判決:サブリース事件)では、「一定期間賃料を増額しない」という特約(不増額特約)があっても、経済事情の著しい変動があれば借地借家法32条による賃料減額請求が可能と判断しています。

【判例解説】賃料増減額請求権と正当事由|借地借家法32条の要件と最高裁の判断基準 解説

つまり「絶対に増減しない」という特約は効力を持たず、特約は「増額しない」は認められるが「減額もしない」は認められないとされています。

協議不調時の手続き

賃料の増減額をめぐって当事者間の協議が成立しない場合:

  1. 調停前置主義:裁判の前に必ず調停を申し立てる必要がある(民事調停法24条の2)
  2. 調停不成立:審判または訴訟へ

協議・裁判中の賃料(暫定賃料)

増減額請求後、裁判が確定するまでの間:

  • 増額請求された借主:相当と認める額を支払えばよい。ただし裁判で決定した増額分は利息(年1割)をつけて支払う
  • 減額請求された貸主:相当と認める額を受領できる。裁判で決定した減額分は利息(年1割)をつけて返還

試験対策のポイント

  • 賃料増減額請求権は当事者どちらも行使できる(貸主は増額請求・借主は減額請求)
  • 不増額特約は有効・不減額特約は無効(借地借家法32条1項但書)
  • 協議不調→調停申立てが必須(裁判の前に必要)

よくある質問(FAQ)

Q. 契約書に「○年間は賃料を変更しない」という特約があれば賃料変更はできない?

A. 「増額しない」特約は有効です。「減額もしない」特約は借地借家法32条1項但書により無効です。

Q. 賃料減額請求をされた大家はどう対応すべき?

A. まず協議。協議が不調なら調停、調停不成立なら裁判になります。その間は「相当と認める額」(現行賃料)を受領し続けられます。

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この記事の監修:ゆうぜん

不動産四冠ホルダー(宅建士・管理業務主任者・マンション管理士・賃貸不動産経営管理士)
現場実務の知見と、e-Gov(法令検索)裁判所ウェブサイトRETIOに基づき情報発信しています。

免責事項

本記事は執筆時点の法令・判例に基づき作成しています。判例の解釈・適用は個々の事案により異なります。法的判断については専門家にご相談ください。


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この記事を書いた人

宅建士・マンション管理士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士合格。現在はサラリーマン兼大家業に従事。

不動産資格四冠全て合格した見識、さらに国交省やe-Govの最新統計データを基に情報発信中。

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