【判例解説】建物賃貸借の正当事由と明渡し請求|借地借家法28条の判断基準を徹底解説

【判例解説】建物賃貸借の正当事由と明渡し請求|借地借家法28条の判断基準を徹底解説

📅 情報基準日:2026年4月17日

「入居者に出ていってもらいたい」——賃貸オーナーの切実な問題です。しかし普通借家契約では「正当事由」がなければ退去を求められません。この正当事由の中身を判例から学びます。

目次

正当事由制度(借地借家法28条)

借地借家法28条は「建物の賃貸人による更新拒絶の通知又は解約申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経緯、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない」と規定しています。

【判例解説】建物賃貸借の正当事由と明渡し請求|借地借家法28条の判断基準を徹底解説

正当事由の判断要素(4要素)

  1. 賃貸人・賃借人の使用の必要性(最重要要素):賃貸人が自己使用するための必要性 vs 賃借人の継続使用の必要性
  2. 賃貸借の経緯:契約の経緯・更新の歴史
  3. 建物の利用状況:賃借人の現在の利用状況
  4. 立退き料等の財産上の給付:正当事由を補完する要素

賃貸人側に正当事由が認められやすいケース

  • 賃貸人自身・同居家族が居住するための強い必要性がある
  • 建物が老朽化し建替えが必要な場合(ただし経済的目的だけでは弱い)
  • 賃借人が契約に違反している(ただし解除事由としては別の問題)

立退き料の機能

正当事由が不十分でも、十分な立退き料を提供することで正当事由が補完される場合があります(借地借家法28条末尾「財産上の給付をする旨の申出」)。

【判例解説】建物賃貸借の正当事由と明渡し請求|借地借家法28条の判断基準を徹底解説 解説
立退き料の相場(参考):
  月額賃料の6〜12ヶ月分が目安
  ただし事案・地域・立地・賃借人の事情により大きく変動

建替えを理由とする場合:
  数百万〜数千万円の立退き料を認めた判例もあり

定期借家契約との違い

借地借家法38条の定期借家契約では、正当事由制度は適用されません。契約期間満了で確実に終了します。賃貸人が入居者の退去を確実に求めたい場合は定期借家契約を活用することが重要です。

試験対策のポイント

  • 普通借家:正当事由なければ更新拒絶・解約申入れ不可(借地借家法28条)
  • 定期借家:正当事由不要、期間満了で終了(借地借家法38条)
  • 正当事由の補完:立退き料等の財産上給付
  • 解約申入れから明渡し完了まで最低6ヶ月必要(借地借家法27条)

よくある質問(FAQ)

Q. 賃借人が家賃を滞納しても正当事由は不要?

A. 家賃滞納は「債務不履行による解除」(民法541条)の問題です。正当事由制度とは別ルートで契約解除→明渡し請求ができます。ただし家賃3ヶ月分以上の滞納など「信頼関係破壊」の程度が必要とされています。

Q. 更新拒絶の通知はいつまでに行う必要がある?

A. 期間満了の1年前から6ヶ月前までに通知が必要です(借地借家法26条1項)。6ヶ月を切ってからでは有効な更新拒絶通知にならず、法定更新されます。

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この記事の監修:ゆうぜん

不動産四冠ホルダー(宅建士・管理業務主任者・マンション管理士・賃貸不動産経営管理士)
現場実務の知見と、e-Gov(法令検索)裁判所ウェブサイトRETIOに基づき情報発信しています。

免責事項

本記事は執筆時点の法令・判例に基づき作成しています。判例の解釈・適用は個々の事案により異なります。法的判断については専門家にご相談ください。


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この記事を書いた人

宅建士・マンション管理士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士合格。現在はサラリーマン兼大家業に従事。

不動産資格四冠全て合格した見識、さらに国交省やe-Govの最新統計データを基に情報発信中。

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