相続における遺留分侵害額請求の判例まとめ|計算方法・基礎財産の算定・特別受益の扱い【2026年版】

📅 情報基準日:2026年5月現在(2019年改正相続法対応)

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人(配偶者・子・直系尊属)に保障された最低限の相続分です。2019年施行の改正民法により、遺留分を侵害された相続人の権利が「遺留分減殺請求権(物権的効力)」から「遺留分侵害額請求権(金銭債権)」に改正され、不動産等の現物返還ではなく金銭請求になりました。

目次

遺留分の割合と計算方法

相続人遺留分の割合(遺留分算定基礎財産に対して)
直系尊属のみ3分の1
その他の場合(配偶者・子等)2分の1
兄弟姉妹なし(遺留分なし)

各自の遺留分:遺留分の割合 × 法定相続分の割合
例:配偶者と子1人の場合 → 配偶者の遺留分:1/2 × 1/2 = 1/4、子の遺留分:1/2 × 1/2 = 1/4

遺留分算定基礎財産の計算(改正民法1043条・1044条)

遺留分の計算基礎となる財産:

遺留分算定基礎財産 = 相続開始時の財産 + 生前贈与 − 相続債務

生前贈与の範囲(改正後):

  • 相続人への贈与:相続開始前10年以内のものが算入(改正で従来の無制限から10年に限定)
  • 第三者への贈与:相続開始前1年以内のもの(または双方が遺留分を侵害することを知っていた場合は無期限)が算入
  • 特別受益(婚姻費用・生計の資本として贈与)は相続人への生前贈与として算入

不動産が遺留分に関係するケース

不動産が遺留分問題に絡む典型例:

  • 生前に特定の相続人(長男等)に不動産を贈与・遺贈した場合
  • 「全財産を特定の人物に遺贈する」旨の遺言がある場合
  • 同居の子に不動産を特別受益として贈与した場合

改正後の「金銭請求」への変更と実務

改正前(2019年以前):遺留分減殺請求により「不動産の持分」を取り戻せた(物権的効力)
改正後:遺留分侵害額請求は「金銭の支払い」を求める債権となった

実務上の影響:

  • 不動産を相続した相続人は、遺留分を侵害した分だけ金銭で支払う義務が生じる
  • 支払いに困窮する場合、裁判所が期限の猶予を認める制度が新設(民法1047条5項)
  • 遺留分侵害額請求権の行使は「遺留分侵害を知った時から1年以内、相続開始から10年以内」(消滅時効)

FAQ

Q. 親が全財産を内縁の妻に遺贈するという遺言を残して亡くなりました。子として遺留分を請求できますか?

A. できます。子は相続人として遺留分(法定相続分の1/2)を持ちます。内縁の妻への遺贈が遺留分を侵害している場合、遺留分侵害額請求権(金銭の支払い請求)を行使できます。相続開始を知った時から1年以内に意思表示(内容証明郵便等)が必要です。まず弁護士に相談し、遺留分侵害額の計算・請求手続きを進めることをおすすめします。

Q. 父が生前に長男に土地(評価額5,000万円)を贈与しました。私(次男)の遺留分はどうなりますか?

A. この贈与が相続開始前10年以内であれば、遺留分算定基礎財産に算入されます(相続人への生前贈与)。相続財産が土地のみ(5,000万円)・相続人が長男・次男の2人の場合、次男の遺留分は5,000万円×1/2(基本)×1/2(次男の法定相続分)=1,250万円となります。これを超える贈与を長男が受けている場合、差額を遺留分侵害額として請求できます。

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この記事の監修:ゆうぜん

不動産四冠ホルダー(宅建士・管理業務主任者・マンション管理士・賃貸不動産経営管理士)
現場実務の知見と、e-Gov(法令検索)裁判所(判例検索)RETIOの公的データに基づき情報発信しています。

免責事項

本記事は執筆時点の判例・法令に基づきますが、個別の法的判断は弁護士等の専門家にご相談ください。正確性・完全性を保証するものではありません。


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💡 四冠ホルダーからの一言:不動産に関わる法律は頻繁に改正されます。本記事執筆時点の情報をベースに、常に最新の法令・通達を確認する習慣をつけることをおすすめします。

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この記事を書いた人

宅建士・マンション管理士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士合格。現在はサラリーマン兼大家業に従事。

不動産資格四冠全て合格した見識、さらに国交省やe-Govの最新統計データを基に情報発信中。

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