※本記事の情報基準日:2026年4月
減価償却とは何か
減価償却とは、建物・設備などの固定資産を購入した際に、その取得費用を耐用年数にわたって少しずつ経費として計上する会計処理のことです。不動産投資においては、建物部分(土地は対象外)の減価償却費が「現金支出を伴わない経費」として不動産所得から控除できるため、節税効果が非常に大きいです。
宅建士・不動産投資家として自身の物件で減価償却を活用しながら確定申告を行ってきた経験から、節税効果と注意点を実務目線で解説します。
建物の法定耐用年数
| 構造 | 法定耐用年数 |
|---|---|
| 木造・合成樹脂造 | 22年 |
| 木骨モルタル造 | 20年 |
| 鉄骨造(骨格材の肉厚3mm以下) | 19年 |
| 鉄骨造(骨格材の肉厚3〜4mm) | 27年 |
| 鉄骨造(骨格材の肉厚4mm超) | 34年 |
| 鉄筋コンクリート造(RC造) | 47年 |
| 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) | 47年 |
減価償却費の計算方法
定額法(個人の不動産所得では原則これ)
年間減価償却費 = 建物の取得価額 × 定額法の償却率
(定額法の償却率 = 1 ÷ 耐用年数)
計算例:RC造マンション(耐用年数47年)を建物価格3,000万円で取得した場合
- 償却率:1÷47≒0.022
- 年間減価償却費:3,000万円 × 0.022 = 66万円
- 月あたり:約5.5万円(現金支出ゼロで経費計上できる)
中古物件の場合:残存耐用年数の計算
中古物件では、法定耐用年数ではなく「残存耐用年数」を使います。
- 法定耐用年数内の物件:残存耐用年数 =(法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 0.2
- 法定耐用年数を超えた物件:残存耐用年数 = 法定耐用年数 × 0.2(最低2年)
例:築25年の木造物件(法定耐用年数22年を超えている)
残存耐用年数 = 22年 × 0.2 = 4年 → 4年で建物価格を全額償却できる
減価償却の節税効果
- 減価償却費は「現金が出ていかない経費」なので、帳簿上の損失を作りながら実際のキャッシュフローはプラスになれる
- 不動産所得と給与所得を損益通算できる(ただし土地部分の借入金利子に相当する額は損益通算の制限あり)
- 所得税・住民税の節税効果がある(年収・税率によって効果は異なる)
注意点:売却時の譲渡所得への影響
減価償却を計上した分だけ、売却時の「取得費」が減少し、譲渡所得(売却益)が大きくなります。節税した分の税金が売却時に繰り延べになるイメージです。長期保有(5年超)で税率が下がる長期譲渡所得として課税される場合は有利ですが、短期保有では注意が必要です。
【監修者】ゆうぜん|不動産四冠ホルダー(宅建士・管理業務主任者・マンション管理士・賃貸不動産経営管理士)。自ら不動産投資・売却・管理を経験した実務家として、正確で実践的な情報をお届けします。※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法律相談・投資助言ではありません。
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