※本記事の情報基準日:2026年4月
不動産所得の赤字は給与所得と相殺できる
不動産投資において、減価償却費・ローン利息・修繕費などの経費が家賃収入を上回り「不動産所得がマイナス(赤字)」になることがあります。この赤字を給与所得など他の所得と合算(損益通算)することで、課税所得を減らし、所得税・住民税を節税することができます。
損益通算の仕組み
課税所得 = 給与所得 + 不動産所得(マイナスの場合は減算)
具体例:給与所得700万円・不動産所得△200万円(赤字)の場合
- 課税所得 = 700万円 − 200万円 = 500万円
- 節税効果:200万円 × 所得税率(約33%)≒ 約66万円の節税(概算)
損益通算できる不動産所得の赤字
不動産所得の赤字は、原則として他の所得と損益通算できます。ただし以下の例外があります。
損益通算できない「土地取得のための借入金利子」
不動産投資ローンの利息のうち、土地取得に対応する部分は損益通算の対象外です(租税特別措置法)。建物部分の利息は損益通算できますが、土地部分の利息は不動産所得の計算では経費にできますが、その分は損益通算から除外されます。
計算の流れ:
① 不動産所得の赤字額を計算(土地利子分を含めた通常の計算)
② ①の赤字額から「土地取得に対応する借入金利子」を差し引く
③ ②が残った場合のみ、その金額を他の所得と損益通算できる
減価償却を使った節税の仕組み
特に築古物件(木造で法定耐用年数22年超)では、残存耐用年数が短く(最短2年)、毎年大きな減価償却費を計上できます。これにより帳簿上の不動産所得を赤字にし、給与所得と損益通算して節税する手法が「築古物件節税」として知られています。
- キャッシュフローはプラスなのに帳簿上の所得はマイナス、という状態を作れる
- ただし減価償却期間終了後は不動産所得がプラスに転じ、税負担が増加する
- 売却時に減価償却分が「取得費の圧縮」として働き、譲渡所得が増加する(税の繰り延べ効果)
損益通算を使う際の注意点
- 節税が目的になりすぎると本末転倒:「節税のために赤字にする」物件は資産形成上マイナス。節税効果は副次的なものと考える
- 住民税・社会保険料にも影響する:課税所得が下がると所得税・住民税が減る一方、健康保険料(国民健康保険の場合)も下がることがある
- 確定申告が必要:損益通算を受けるためには毎年確定申告が必要(年末調整だけでは適用されない)
- 税理士への相談推奨:計算が複雑なため、不動産所得がある場合は税理士に依頼するのが安全
【監修者】ゆうぜん|不動産四冠ホルダー(宅建士・管理業務主任者・マンション管理士・賃貸不動産経営管理士)。自ら不動産投資・売却・管理を経験した実務家として、正確で実践的な情報をお届けします。※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法律相談・投資助言ではありません。
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