区分所有者の義務違反・専有部分使用禁止と競売請求|区分所有法59条の要件と裁判例【2026年版】

📅 情報基準日:2026年5月現在

マンションで管理費の長期滞納・騒音・ゴミの放置・危険物の持込み等の悪質な行為が続く区分所有者への最終手段として、区分所有法は「使用禁止請求」(58条)と「競売請求」(59条)を用意しています。これらは権利制限が大きい措置であり、実際に裁判所が認める要件は厳しく、慎重に運用されます。

目次

区分所有法が定める段階的対応手段

条文内容決議要件
57条行為の停止・予防措置・結果の除去(行為停止請求)普通決議(過半数)
58条一定期間の専有部分の使用禁止請求(最長2年)特別多数決議(区分所有者数・議決権 各3/4以上)
59条専有部分の競売請求(所有権の強制喪失)特別多数決議(区分所有者数・議決権 各3/4以上)
60条占有者(賃借人等)に対する引渡し請求特別多数決議(各3/4以上)

競売請求(区分所有法59条)が認められた裁判例の傾向

裁判所が59条の競売請求を認容するためには「区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によっては障害を除去して共用部分の管理又は変更若しくは建物の管理を適正に行うことが困難であること」が必要です。

認容された事例の典型(実際の裁判例から):

  • 3年以上にわたる多額の管理費・修繕積立金の滞納が続き、強制執行をしても実効性がない場合
  • 暴力的行為・脅迫・器物損壊等を繰り返し、他の住民の安全が脅かされる場合
  • 悪臭・害虫発生・建物損壊等の生活環境への深刻な悪影響が継続する場合

競売請求の手続きフロー

  • ①管理組合総会での決議(区分所有者数・議決権各3/4以上の特別多数)
  • ②管理組合(理事長)が原告となり、地方裁判所に競売命令申立て訴訟を提起
  • ③被告区分所有者は訴訟で防御できる
  • ④裁判所が競売命令を認容した場合→別途競売の申立て(競売申立てのための「資格証明」として機能)
  • ⑤競売により落札者が専有部分の所有権を取得

使用禁止請求(区分所有法58条)の実務

競売請求の前段階として、58条の使用禁止請求(一定期間の入居禁止)があります。期間は最長2年で、裁判所が認容する場合、問題のある区分所有者は専有部分に住めなくなります。使用禁止中も所有権は維持されるため、競売請求より緩やかな手段です。

FAQ

Q. 管理費を3年間滞納しているオーナーに対して競売請求をしたいのですが、まず何をすれば良いですか?

A. ①訴訟(支払督促)による判決・強制執行(給与差押え・不動産への強制競売)を先行して試みた記録を作る、②管理組合の弁護士に相談して競売請求訴訟の可否を検討する、③総会の招集・議案の提案(区分所有者数・議決権の3/4以上の賛成が必要)という手順が一般的です。競売請求は最終手段であり、他の回収手段を尽くした記録が重要です。

Q. 競売請求訴訟で管理組合が勝訴した場合、その後の手続きはどうなりますか?

A. 競売命令が確定したら、管理組合(理事長)が地方裁判所に競売の申立てを行います。競売手続きでは、裁判所が物件評価・公告・入札を実施します。落札者が代金を納付すれば所有権が移転し、管理費滞納等の問題が解消されます。ただし競売による売却価格は市場価格を下回ることが多く、管理費の全額回収は難しい場合があります。

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この記事の監修:ゆうぜん

不動産四冠ホルダー(宅建士・管理業務主任者・マンション管理士・賃貸不動産経営管理士)
現場実務の知見と、e-Gov(法令検索)裁判所(判例検索)RETIOの公的データに基づき情報発信しています。

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本記事は執筆時点の判例・法令に基づきますが、個別の法的判断は弁護士等の専門家にご相談ください。正確性・完全性を保証するものではありません。


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この記事を書いた人

宅建士・マンション管理士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士合格。現在はサラリーマン兼大家業に従事。

不動産資格四冠全て合格した見識、さらに国交省やe-Govの最新統計データを基に情報発信中。

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