根抵当権(民法398条の2〜398条の22(e-Gov法令検索))は、一定の範囲に属する不特定多数の債権を、極度額の限度で担保する制度です。通常の抵当権と異なり、債権が弁済されても消滅しない点が最大の特徴です。宅建・マン管試験での出題範囲を判例とともに解説します。
根抵当権と普通抵当権の比較
| 項目 | 普通抵当権 | 根抵当権 |
|---|---|---|
| 被担保債権 | 特定の債権 | 一定範囲の不特定多数の債権 |
| 付従性 | あり(債権消滅→抵当権消滅) | なし(元本確定前は付従性なし) |
| 担保の限度 | 被担保債権額(+法定利息等) | 極度額まで |
| 随伴性 | あり(債権譲渡→抵当権移転) | なし(元本確定前) |
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重要判例①:元本確定前の根抵当権の性質
最高裁判所 昭和47年11月28日判決 民集26巻9号1720頁
根抵当権は元本確定前、付従性・随伴性がなく、独立した担保物権として機能します。判例は「元本確定前の根抵当権は、特定の債権と切り離された独立の権利として、その枠(極度額)自体を処分の対象にできる」と判示しました。
重要判例②:元本確定と確定事由
根抵当権の元本確定事由(民法398条の19〜398条の20)の主なものは以下の通りです:

- 根抵当権者または設定者からの確定請求(設定後3年経過後)
- 根抵当権の実行(競売開始申立て)
- 設定者の破産手続開始決定
- 根抵当権者の差押え
最高裁判所 平成15年3月13日判決 民集57巻3号286頁
破産手続開始決定があった場合の元本確定について、判例は確定事由発生時点での債権残高が担保されると判示しています。
重要判例③:根抵当権の一部譲渡と分割譲渡
根抵当権は、元本確定前に限り、設定者の承諾を得て以下の処分ができます:
- 全部譲渡(398条の12):根抵当権をそのまま譲渡
- 一部譲渡(398条の13):共有根抵当権として譲渡(設定者の承諾必要)
- 分割譲渡(398条の12第2項):極度額を分割して譲渡(設定者の承諾必要)
元本確定後は普通抵当権と同様に扱われ、随伴性が生じます。
根抵当権の変更(民法398条の4)
根抵当権の被担保債権の範囲・債務者は、元本確定前に限り合意によって変更できます。ただし後順位抵当権者等の利害関係人の承諾が必要です。極度額の変更も同様に後順位権利者の承諾が必要です(398条の5)。
元本確定後の処理
元本確定後の根抵当権は、確定した元本と確定時の利息・損害金等の全額を、極度額の範囲で担保します。確定後は普通抵当権と同様に付従性・随伴性が生じ、被担保債権の弁済によって根抵当権も消滅します。
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まとめ
根抵当権の学習は「元本確定前」と「元本確定後」で性質が変わる点を軸にしてください。元本確定前は付従性・随伴性なし(独立した担保権)、確定後は普通抵当権と同様という区別が最重要です。確定事由の種類と各処分(全部譲渡・一部譲渡・分割譲渡)の要件も宅建試験の頻出ポイントです。
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