📅 情報基準日:2026年5月現在
意思表示の瑕疵(欠陥)に関する規定は、宅建試験で毎年出題される最重要分野です。2020年民法改正で錯誤の規定が大きく変わりました。各類型の要件と第三者保護の有無を比較表で整理しましょう。
意思表示の瑕疵:5類型の比較
| 類型 | 効果 | 善意の第三者への対抗 |
|---|---|---|
| 心裡留保(民法93条) | 原則有効。相手方が悪意・有過失なら無効 | 無効を善意の第三者に対抗不可 |
| 虚偽表示(民法94条) | 当事者間では無効 | 善意の第三者に無効を対抗不可 |
| 錯誤(民法95条) | 取消可能(改正前:無効) | 善意・無過失の第三者に取消を対抗不可 |
| 詐欺(民法96条) | 取消可能 | 善意・無過失の第三者に取消を対抗不可 |
| 強迫(民法96条) | 取消可能 | 善意の第三者にも取消を対抗できる |
強迫だけが「善意の第三者にも対抗できる」ことが最大のポイントです。強迫は被害者の保護が最も手厚い類型です。

2020年改正:錯誤の重要変更点
①「無効」から「取消」へ
改正前の錯誤は「無効」でしたが、改正後は「取消」に変更されました。取消権の行使期間(追認できる時から5年・行為の時から20年)が適用されます。
②動機の錯誤の明文化(民法95条2項)
改正後、動機の錯誤(意思表示の動機に関する勘違い)も取消可能になりました。ただしその動機が相手方に表示されていた場合に限ります。
例:「この土地は工場が建てられると思って購入した(実際は用途地域で建てられない)」→ その動機を相手方に伝えていれば取消可能。
③重過失がある場合の制限
錯誤した者に重大な過失がある場合、原則として取消しができません。ただし例外が2つあります。
- 相手方が錯誤を知っていた(悪意)または重過失で知らなかった場合
- 相手方が同一の錯誤に陥っていた場合(共通錯誤)
虚偽表示と94条2項類推適用(試験頻出)
虚偽表示(通謀虚偽表示)は当事者間では無効ですが、善意の第三者には無効を対抗できません(民法94条2項)。この「善意の第三者」保護の趣旨は、虚偽の外観を作り出した当事者への帰責性によるものです。
さらに判例は、虚偽表示に当たらない場合でも「虚偽の外観作出への帰責性+第三者の善意」があれば94条2項を類推適用して第三者を保護します(94条2項類推適用法理)。宅建試験でも出題されています。

ひっかけ注意ポイント
- ❌「強迫による取消は善意の第三者に対抗できない」→ ✅ 強迫のみ善意の第三者にも対抗できる(強迫被害者を最大限保護)
- ❌「錯誤は改正後も無効」→ ✅ 2020年改正で取消に変更された
- ❌「動機の錯誤は取消できない」→ ✅ 相手方に表示した動機の錯誤は取消可能(2020年改正で明文化)
- ❌「第三者による詐欺は常に取消できる」→ ✅ 第三者による詐欺は相手方が悪意・有過失の場合のみ取消可能(民法96条3項)
よくある質問(FAQ)
Q. 心裡留保と虚偽表示の違いは何ですか?
A. 心裡留保は「表意者が単独で」真意でない意思表示をすること(相手方は知らない)。虚偽表示は「表意者と相手方が通謀して」真意でない意思表示をすることです。心裡留保は原則有効、虚偽表示は当事者間で無効です。
Q. 錯誤取消後、善意無過失の第三者が登場した場合どうなりますか?
A. 取消後に登場した第三者との関係は、取消の遡及効と対抗要件(登記)の問題として処理されます。判例は取消後の第三者には登記の先後で決すると解しています。
Q. 詐欺と錯誤の第三者保護の違いは何ですか?
A. 詐欺は「善意・無過失の第三者」に対抗不可、錯誤も「善意・無過失の第三者」に対抗不可です。改正前の錯誤(無効)は第三者保護規定がなかったため、改正で詐欺と同様の第三者保護が明文化されました。
まとめ
- 強迫だけが善意の第三者にも取消を対抗できる(被害者保護最優先)
- 2020年改正:錯誤は「無効→取消」に変更。動機の錯誤も表示すれば取消可能
- 錯誤した者に重過失がある場合は原則取消不可(例外:相手方の悪意・共通錯誤)
- 虚偽表示の善意の第三者保護は94条2項、類推適用で広く第三者を保護
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免責事項
本記事は執筆時点の法令・データに基づきますが、正確性・完全性を保証するものではありません。最終判断は必ず公的機関の最新情報をご確認ください。

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