📅 情報基準日:2026年5月現在
宅建試験の民法「権利関係」において、時効は毎年1〜2問出題される最重要テーマです。2020年の民法改正で消滅時効の起算点・期間が大きく変わりました。取得時効と消滅時効の違いを整理し、改正後の正確な知識で得点源にしましょう。
時効の2種類:取得時効と消滅時効
| 種類 | 効果 | 主な要件 |
|---|---|---|
| 取得時効 | 他人の物の所有権等を取得できる | 占有継続+所有の意思+平穏・公然 |
| 消滅時効 | 権利を行使しないと権利が消滅する | 権利を行使できる状態で一定期間経過 |

取得時効の要件と期間(民法162条)
民法第162条により、土地の取得時効の要件と期間は次の通りです。
| 区分 | 期間 | 要件 |
|---|---|---|
| 短期取得時効 | 10年 | ①所有の意思 ②平穏・公然 ③善意・無過失で占有開始 |
| 長期取得時効 | 20年 | ①所有の意思 ②平穏・公然(善意・無過失は不要) |
「所有の意思」の判断
所有の意思は占有者の内心ではなく、占有取得の原因となった外形的事実(権原の性質)によって客観的に決まります(最高裁判例)。賃借人・使用借人は所有の意思がないため取得時効は成立しません。
消滅時効の起算点と期間(2020年改正後)
2020年4月施行の改正民法(民法第166条)で、消滅時効は「主観的起算点」と「客観的起算点」の二重構造になりました。
| 起算点の種類 | 期間 | 内容 |
|---|---|---|
| 主観的起算点 | 5年 | 「権利を行使できることを知った時」から5年 |
| 客観的起算点 | 10年 | 「権利を行使できる時」から10年 |
どちらか早く到来した方で時効が完成します。改正前は原則10年だったため、改正後は短くなるケースが多くなっています。

時効の更新と完成猶予(改正後の重要変更)
改正前は「中断」「停止」という用語でしたが、改正後は「更新」「完成猶予」に変わりました。
| 旧用語 | 新用語 | 効果 | 主な事由 |
|---|---|---|---|
| 中断 | 更新 | 時効期間がリセットされ、ゼロから再スタート | 裁判上の請求・承認・強制執行 |
| 停止 | 完成猶予 | 一定期間、時効の完成が猶予される | 催告(6ヶ月)・協議合意(1年まで) |
試験頻出:催告の効果
催告(内容証明郵便等)をすると6ヶ月間は時効が完成しません(完成猶予)。ただし催告から6ヶ月以内に裁判上の請求等の強い手段を取らないと時効が完成します。催告の繰り返しで時効を止め続けることはできません。
ひっかけ注意ポイント
- ❌「賃借人が20年以上占有すれば取得時効が成立する」→ ✅ 賃借人は所有の意思がないため成立しない
- ❌「催告を繰り返せばずっと時効を止められる」→ ✅ 催告の効果は1回しか認められない
- ❌「消滅時効は一律10年」→ ✅ 改正後は主観的起算点から5年で完成する場合がある
- ❌「時効の援用は任意」→ ✅ 時効の利益を受けるには必ず「援用」が必要(自動的には消滅しない)
よくある質問(FAQ)
Q. 取得時効で土地を取得したら、登記なしで第三者に対抗できますか?
A. できません。時効取得後に原所有者から土地を購入した第三者には、登記がなければ対抗できません(最高裁昭和33年8月28日判決)。時効完成後は速やかに移転登記を備えることが重要です。
Q. 消滅時効が完成した後でも、債務者が任意に支払ったら取り戻せますか?
A. 取り戻せません。時効完成後に債務を承認して支払った場合は、時効の利益の放棄とみなされ、不当利得返還請求もできません(民法146条)。
Q. 不動産の所有権移転登記請求権の消滅時効は何年ですか?
A. 売買契約による所有権移転登記請求権は、主観的起算点(請求できると知った時)から5年、客観的起算点(請求できる時)から10年のどちらか早い方で消滅します。ただし所有権は時効で消滅しないため注意が必要です。
まとめ
- 取得時効:所有の意思+平穏・公然で10年(善意無過失)または20年
- 消滅時効:主観的起算点から5年 or 客観的起算点から10年(早い方)
- 改正後の用語:「中断→更新」「停止→完成猶予」に変更
- 催告は6ヶ月の完成猶予のみ。繰り返しては効果がない
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