退去精算・原状回復の実務とトラブル対策【2026年版】国交省ガイドラインに基づく費用負担の基準

📅 情報基準日:2026年5月現在(国交省ガイドライン2023年改訂版対応)

📋 参照:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(2023年改訂)・民法(621条)

退去時の原状回復をめぐるトラブルは賃貸経営で最も多い紛争のひとつです。大家側が過剰な請求をすると消費者センターへの申し出・裁判に発展します。適正な費用負担の基準を理解した上で対応することが大家に求められます。

目次

原状回復の基本ルール(民法621条)

民法621条(2020年改正施行)により、通常の使用に伴う損耗(自然損耗)は入居者の原状回復義務に含まれないことが明確化されました。

負担区分具体例
入居者負担(故意・過失)タバコのヤニ汚れ・ペット傷・落書き・鍵の紛失・結露放置によるカビ
大家負担(自然損耗・経年劣化)日焼けによるクロスの変色・ソファの設置跡・画鋲穴(小さなもの)
どちらとも言えない(ガイドラインで個別判断)エアコン内部洗浄・フローリングの傷・クロスの補修

費用の「経過年数考慮」が必要な項目

クロス(壁紙)・フローリングなどは耐用年数があり、入居期間に応じて入居者の負担割合が減少します。

  • クロス(壁紙):耐用年数6年。6年居住後は帳簿上の残存価値は1円→入居者の費用負担は最小限
  • エアコン:耐用年数6年。故障が入居者の使用上の過失でなければ大家負担
  • フローリング(全面張替え):大家負担が原則。傷があった部分のみ入居者が費用の一部を負担

特約の有効性

「ハウスクリーニングは借主負担」「退去時のクロス張替えは借主負担」などの特約は一定条件下で有効です。有効な特約の要件:

  • 特約の必要性があり、かつ暴利的でないこと
  • 借主が特約内容を認識していること
  • 借主が特約への同意を自由意志で行っていること

FAQ

Q. 退去後のハウスクリーニング費用は誰の負担ですか?

A. 特約がなければ原則大家負担です。ただし「退去時のハウスクリーニングは借主負担」という明確な特約があれば入居者負担とすることができます。特約の内容・金額(例:3万円以内など)が合理的であれば有効とされています。

Q. 入居者が退去費用の支払いを拒否した場合はどうすれば良いですか?

A. まず証拠(入居時・退去時の写真・費用明細)を整備した上で、内容証明郵便で請求します。それでも支払わない場合は少額訴訟(60万円以下)または支払督促の申立てが有効です。費用が少額で裁判費用を上回る場合は、消費者センターや弁護士への相談も検討してください。

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この記事の監修:ゆうぜん

不動産四冠ホルダー(宅建士・管理業務主任者・マンション管理士・賃貸不動産経営管理士)
自ら賃貸経営を行う大家として、現場実務の知見と公的データに基づき情報発信しています。

免責事項

本記事は執筆時点の法令・制度に基づきます。個別の投資判断・税務については専門家(税理士・FP等)にご相談ください。

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この記事を書いた人

宅建士・マンション管理士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士合格。現在はサラリーマン兼大家業に従事。

不動産資格四冠全て合格した見識、さらに国交省やe-Govの最新統計データを基に情報発信中。

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