親や祖父母が借地権付きの建物に住んでいた場合、相続発生後に「この借地権、どうすればいいのか」と困惑する方が多くいます。借地権は相続できますが、地主への通知義務や手続き、その後の選択肢(売却・住む・賃貸)によって取るべき行動が異なります。四冠ホルダーが全手順を解説します。
借地権は相続できるか
借地権は相続財産として相続人に承継されます(民法896条(e-Gov))。地主の承諾は不要です(売却・譲渡と異なり相続は承継であるため)。ただし、相続後に地主への通知は礼儀として行うべきです。
| 手続き | 地主の承諾 | 備考 |
|---|---|---|
| 相続による承継 | 不要 | 法定相続・遺言相続どちらでも不要 |
| 第三者への売却・譲渡 | 必要 | 承諾料(借地権価格の10〜15%)が発生することが多い |
| 建物の建て替え | 必要(増改築承諾) | 承諾料が発生することが多い |
| 転貸(又貸し) | 必要 | 無断転貸は契約解除事由となる |
相続発生後の手続きの流れ
- ①相続人の確定と遺産分割協議:借地権・建物を誰が相続するか決める。複数の相続人がいる場合、共有にすると後で売却・活用が困難になるため、できれば単独相続が望ましい。
- ②建物の相続登記:建物の名義を被相続人から相続人へ変更する(2024年4月から相続登記が義務化)。借地権自体は登記不要だが、建物登記が借地権の対抗要件となる。
- ③地主への通知:法律上義務ではないが、地代の振込先変更なども兼ねて速やかに通知することが実務上のマナー。
- ④地代の継続支払い:相続後も地代の支払い義務は継続。滞納すると借地契約解除事由になる。
- ⑤今後の方針決定(住む・賃貸・売却)
相続した借地権の3つの選択肢
①そのまま住む
建物の老朽化・修繕費・地代の負担を長期的に考えた上で判断。建て替えが必要になった場合は地主の建替承諾と承諾料が必要になる点を踏まえ、将来コストを試算することが重要。
②売却する
地主の譲渡承諾を得て、借地権付き建物として売却。老朽化・再建築不可の物件は一般業者では売れないことが多く、借地権専門の買取業者への相談が最善。相続から3年以内であれば相続空き家の3,000万円控除も検討できる(一定条件あり)。
③賃貸に出す
地主の転貸承諾が必要。老朽化物件は入居者がつきにくく、リフォーム費用の回収が難しいケースもある。建て替えが必要な状態なら売却を優先的に検討するべき。
相続した借地権物件を放置するリスク
- 建物が老朽化し「特定空き家」に指定されると固定資産税の住宅用地軽減が剥奪される
- 地代滞納が続くと地主から借地契約解除・建物収去・土地明渡請求を受けるリスクがある
- 相続人が複数いる場合に時間が経つほど意見集約が困難になる
- 相続空き家の3,000万円控除の期限(相続後3年)を逃す
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【著者】宅建士・マンション管理士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士の四冠保有。不動産実務10年超。本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の相談は専門家にお問い合わせください。
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🏛️ 参考:公的機関・一次情報
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