不動産を売却する際に、物件の欠陥を「知らなかった」「言わなかった」は通用しません。売主の告知義務と、瑕疵が発覚した場合の法的責任を宅建士が解説します。
目次
契約不適合責任とは(2020年民法改正後)
2020年4月の民法改正で「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」に改正されました(民法562条〜572条(e-Gov法令検索))。

- 旧法(瑕疵担保責任):隠れた瑕疵(売主が知らなかった欠陥)に限定
- 新法(契約不適合責任):種類・品質・数量に関して「契約の内容に適合しない」場合は全て対象。売主が知らなかった欠陥でも責任を負う
売主が個人の場合、引渡しから3ヶ月〜1年(契約で定める期間)が責任期間です。宅建業者が売主の場合は最低2年間(宅地建物取引業法40条(e-Gov法令検索))。
告知義務がある主な事項
物理的瑕疵
- 雨漏り(過去のものも含む)
- シロアリ被害・腐食
- 給排水管の故障・漏水
- 基礎・構造上の問題
- 土壌汚染・地盤沈下
心理的瑕疵
- 自殺・孤独死・他殺等の死亡事案(国交省ガイドライン:概ね事案発生から3年以内に告知義務)
- 近隣の騒音・悪臭・振動
法律的瑕疵
- 再建築不可・接道義務違反
- 建築基準法違反(増築の無許可等)
- 境界の不確定・越境
告知書(物件状況確認書)の書き方
不動産売却では「告知書(物件状況確認書)」を売買契約時に添付します。知っていることは全て正直に記載することが重要です。

- 「該当なし」と書いた項目で後から問題が発覚すると、損害賠償請求の対象になる
- 「不明」と書ける項目は「不明」と正直に記載する
- わずかな欠陥でも記載しておくことで、後のトラブルを防げる
契約不適合が発覚した場合の売主の責任
| 買主の権利 | 内容 |
|---|---|
| 追完請求(民法562条(e-Gov法令検索)) | 修補・代替物引渡しを請求 |
| 代金減額請求(563条) | 不適合の程度に応じた代金減額 |
| 損害賠償請求(564条) | 修繕費・代替住居費等の賠償 |
| 契約解除(564条) | 不適合が重大な場合は契約全体を解除 |
責任回避ではなく「正直な告知」が最善策
欠陥を隠して売却しても、発覚すれば損害賠償・契約解除のリスクが生じます。事前にインスペクションを実施して欠陥を把握し、価格に織り込んだ上で正直に告知する方が、長期的には売主のリスクを最小化します。
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参考資料・公式情報
💡 四冠ホルダーからの一言:宅建試験は「なぜそのルールが存在するのか」という背景理解が合格の近道です。条文の丸暗記より、制度の趣旨を掴むことを意識してください。

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