※本記事の情報基準日:2026年5月
「退去したのに敷金が全額差し引かれた」「連絡しても返金されない」というトラブルは非常に多いです。賃貸不動産経営管理士・宅建士として、敷金返還を請求するための具体的な手順と法的根拠を解説します。
敷金返還の法的根拠
2020年4月の民法改正により、敷金の扱いが明文化されました。民法622条の2では「賃貸人は、賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたときに、借主に敷金を返還しなければならない」と定めています。差し引けるのは「未払い賃料」と「借主の故意・過失による損傷の修繕費用」のみです。

通常損耗・経年劣化は借主負担ではない
国土交通省のガイドライン(原状回復をめぐるトラブルとガイドライン)に基づき、以下は貸主負担(敷金から差し引けない)とされています。
- フローリングの日焼け・家具の跡
- 壁紙の自然な変色・黄ばみ
- エアコン・換気扇等の通常使用による汚れ
- ネジ穴・画鋲の穴(下地ボードを損傷していない場合)
- 鍵の交換費用(通常は貸主負担)
敷金返還を請求する手順
Step 1:退去時の部屋の状態を記録する
退去前に全部屋の写真・動画を撮影しておきましょう。損傷箇所は入居時から存在していた場合を証明するため、入居時のチェックリストと比較できるようにしておくことが重要です。

Step 2:精算書・明細書を要求する
敷金を差し引く場合、貸主・管理会社は項目ごとの明細書を提出する義務があります。「クリーニング費用○万円」だけでは不十分。各費用の根拠・単価・数量を明示させましょう。
Step 3:内容証明郵便で返還請求をする
不当な請求が含まれている場合、内容証明郵便で「〇〇円の返還を〇日以内に行うよう求めます」と書面で通知します。郵便局で発行でき、「送った証拠」が残るため交渉に有効です。
Step 4:少額訴訟・支払督促の活用
60万円以下の金銭請求であれば少額訴訟が利用できます。弁護士不要で本人が申立でき、1日で判決が出ることが多いです。申立手数料は請求額の1%程度(最低1,000円)で済みます。
| 手段 | 費用目安 | 期間 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 内容証明郵便 | 1,500〜2,500円 | 即日 | 交渉のきっかけになる |
| 少額訴訟 | 1,000〜6,000円 | 1〜2ヶ月 | 本人申立可能・1日で判決 |
| 通常訴訟 | 5,000円〜 | 数ヶ月 | 60万円超の場合 |
| 弁護士依頼 | 着手金10万円〜 | 3〜6ヶ月 | 複雑なケース向け |
無料相談窓口の活用
- 国民生活センター(消費者ホットライン:188):敷金トラブルの相談を無料で受け付け
- 各都道府県の宅建業担当課:不動産業者の違反行為について相談できる
- 法テラス(0570-078374):弁護士費用の立替制度あり。収入が少ない方向け
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まとめ
- 通常損耗・経年劣化は貸主負担。差し引けるのは故意・過失による損傷のみ
- 退去前に写真・動画を撮影しておくことが最重要の証拠保全
- 明細書を必ず要求し、根拠のない請求には内容証明で対抗する
- 60万円以下なら少額訴訟で弁護士なしに自分で請求できる
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【監修者】ゆうぜん|不動産四冠ホルダー(宅建士・管理業務主任者・マンション管理士・賃貸不動産経営管理士)。賃貸借契約・敷金トラブル・原状回復に精通した実務家として、正確で実践的な情報をお届けします。
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💡 四冠ホルダーからの一言:賃貸トラブルの多くは「事前の確認不足」から生まれます。契約前に重要事項説明書を隅々まで読み、不明点は必ず書面で確認しましょう。

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