※本記事の情報基準日:2026年5月
「退去時にハウスクリーニング費用として5〜10万円を敷金から引かれた。これは違法では?」という疑問を持つ方は多いです。答えは「契約内容による」ですが、貸主側の主張がすべて正当とは限りません。詳しく解説します。
ハウスクリーニング費用の負担ルール(原則)
国土交通省のガイドラインでは、ハウスクリーニングは「借主が通常の清掃を実施している場合、貸主負担が原則」とされています。なぜなら、通常の使用で生じる汚れは経年劣化として貸主が負担すべきものだからです。

例外:特約で借主負担にできる条件
ただし、賃貸借契約に「ハウスクリーニング費用は借主負担」という特約がある場合は有効になります。最高裁(平成17年12月16日)も特約の有効性を認めています。有効な特約の条件は以下の3点です。
- 特約の必要性があり、かつ暴利的でないこと
- 借主が特約によって通常の原状回復義務を超えた負担をすることを認識していること
- 借主がその特約に合意していること
特約があっても無効になるケース
- 金額が明示されていない:「ハウスクリーニング費用は借主負担」とだけ書かれていて具体的な金額がない場合、消費者契約法10条により無効とされることがある
- 口頭のみで書面に残っていない:契約書に明記されていない特約は主張できない
- 説明を受けていない:重要事項説明で特約について説明を受けていない場合は無効の主張ができる
実際に請求された場合の対処フロー
1. 契約書を確認する
まず賃貸借契約書を確認し、クリーニング費用に関する特約の有無・金額の明示を確認します。特約がなければ「原則通り貸主負担」と主張できます。

2. 明細書を要求する
クリーニング費用の内訳(どの部分をどの業者がいくらでクリーニングしたか)の明細を求めます。相場より大幅に高い場合は交渉材料になります。
3. 相場と比較する
| 間取り | ハウスクリーニング相場 |
|---|---|
| 1R・1K(20〜30㎡) | 2〜3.5万円 |
| 1LDK(35〜50㎡) | 3〜5万円 |
| 2LDK(50〜70㎡) | 4.5〜7万円 |
| 3LDK(70〜90㎡) | 6〜9万円 |
4. 不当な場合は交渉・申立
特約がないのに請求されている、または相場の2倍以上の請求がある場合は、内容証明郵便で異議を申し立てます。解決しない場合は少額訴訟(60万円以下)または消費生活センターへの相談が有効です。
入居前にできる予防策
- 契約時に「クリーニング特約の有無と金額」を必ず確認する
- 入居時のチェックシートを写真付きで記録・保管する(入居時の傷・汚れを証明できる)
- 退去時に自分でハウスクリーニングを実施した記録(領収書等)を残す
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まとめ
- ハウスクリーニング費用は原則として貸主負担。特約があれば借主負担になり得る
- 特約の有効性は「明記・説明・合意」の3点がそろっていることが条件
- 相場より大幅に高い請求や特約のない請求には異議を申し立てられる
- 消費者ホットライン(188)や少額訴訟が有効な対処手段
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【監修者】ゆうぜん|不動産四冠ホルダー(宅建士・管理業務主任者・マンション管理士・賃貸不動産経営管理士)。賃貸借契約・敷金トラブル・原状回復に精通した実務家として、正確で実践的な情報をお届けします。
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💡 四冠ホルダーからの一言:賃貸トラブルの多くは「事前の確認不足」から生まれます。契約前に重要事項説明書を隅々まで読み、不明点は必ず書面で確認しましょう。

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