区分所有法の共用部分と専有部分:判例で学ぶ境界の考え方

※本記事の情報基準日:2026年4月

目次

なぜ共用部分と専有部分の区別が重要か

マンションでは、一部の区分所有者が「ここは私の部屋の壁だから自由に工事できる」と思っていても、実際には共用部分であり管理組合の承認が必要なケースが多くあります。共用部分と専有部分の正確な理解は、区分所有者としての権利義務の把握に直結します。

専有部分と共用部分の定義

区分所有法第2条では以下のように定義されています。

  • 専有部分(第2条1項):区分所有権の目的たる建物の部分。「構造上の独立性」と「利用上の独立性」が必要
  • 共用部分(第2条4項):専有部分以外の建物の部分(廊下・階段・エレベーター等)および区分所有者が共用すべき附属の建物
  • 法定共用部分:規約で定めなくても当然に共用部分になるもの(廊下・階段・エントランス等)
  • 規約共用部分:本来専有部分になれる部分でも、規約で共用部分とされたもの(管理人室・集会室等)

境界が問題になりやすい箇所

箇所専有部分共用部分
バルコニー専用使用権あり(日常的な使用)建物の外壁として共用部分
玄関扉内側の面・錠前外側の面・枠・蝶番(躯体部分)
窓ガラス・サッシ(管理規約による)原則として共用部分(外壁の一部)
配管(専有部分内)専有部分のみに使用するもの他の専有部分・共用部分にも関係するもの

重要判例

バルコニーの無断改造(最高裁昭和62年7月17日判決)

事案:区分所有者がバルコニーに無断でサンルームを設置したケース。最高裁は「バルコニーは区分所有法上の共用部分であり、管理組合の承認なく設置したサンルームは撤去すべき」と判断しました。バルコニーは専用使用権が与えられていても、共用部分であることに変わりはなく、形状や用途の変更(変更行為)には総会の特別決議が必要です。

玄関扉の塗装(最高裁昭和63年4月14日判決)

事案:区分所有者が玄関扉の外側を自己の判断で塗装したケース。裁判所は玄関扉の外側の面は共用部分であり、独断での塗り替えは管理組合の承認が必要と判断しました。統一的な外観を維持することが区分所有者全員の利益になるためです。

共用部分の変更・管理の決議要件

行為の種類必要な決議要件
保存行為(現状維持・軽微な修繕)理事長の単独決定(または理事会決議)各区分所有者も単独で可
管理行為(利用・改良)普通決議区分所有者・議決権の各過半数
変更行為(形状・効用の著しい変更)特別決議区分所有者・議決権の各4分の3以上

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【監修者】ゆうぜん|不動産四冠ホルダー(宅建士・管理業務主任者・マンション管理士・賃貸不動産経営管理士)。自ら不動産投資・売却・管理を経験した実務家として、正確で実践的な情報をお届けします。※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法律相談・投資助言ではありません。

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この記事を書いた人

宅建士・マンション管理士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士合格。現在はサラリーマン兼大家業に従事。

不動産資格四冠全て合格した見識、さらに国交省やe-Govの最新統計データを基に情報発信中。

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