📅 情報基準日:2026年5月現在
「固定と変動、どっちが得ですか?」——住宅購入を検討している方から最もよく受ける質問です。結論を先に言うと、「どちらが絶対に得」という答えはなく、損益分岐点となる金利水準を計算した上で自分の状況に合わせて選ぶのが正解です。宅建士として実務で使う計算方法を具体的にお伝えします。
損益分岐点とは何か
「損益分岐点」とは、変動金利と固定金利の総支払額が同じになる変動金利の水準のことです。変動金利がこの水準を下回れば変動が得、上回れば固定が得になります。
損益分岐点の計算式(簡易版)
固定金利の総支払額と変動金利の総支払額が等しくなる点を求めます。概算として次の考え方が有効です。
- 固定金利の月々返済額を計算
- 変動金利が現在水準で推移した場合の総支払額を計算
- 両者の差額が0になる変動金利の「平均水準」を逆算
借入額・期間別 損益分岐点シミュレーション
借入3,000万円で固定金利1.8%(35年)を選んだ場合の損益分岐点となる変動金利の平均水準です。
| 固定金利 | 変動金利(現在) | 損益分岐となる変動金利の平均 | 判断 |
|---|---|---|---|
| 1.8%(35年) | 0.5% | 約1.3% | 変動が1.3%未満で推移→変動が得 |
| 1.5%(35年) | 0.5% | 約1.1% | 変動が1.1%未満で推移→変動が得 |
| 2.0%(35年) | 0.5% | 約1.4% | 変動が1.4%未満で推移→変動が得 |
つまり、「今後35年間の変動金利の平均が損益分岐点を上回るかどうか」がカギです。2000年以降の変動金利の平均は概ね1〜1.5%程度で推移してきましたが、今後の金利動向は誰にも断言できません。
固定金利が有利になる3つのシナリオ
- 長期的な金利上昇が続く場合:日銀の利上げが継続し、変動金利が2%超で推移する
- 返済期間が長い場合:35年全期間固定なら、後半に金利が上がっても影響を受けない
- 精神的安定を重視する場合:返済額が確定しているほうが家計管理しやすい
変動金利が有利になる3つのシナリオ
- 短期で完済できる場合:10〜15年で完済予定なら金利上昇の影響期間が短い
- 積極的に繰り上げ返済できる場合:低金利期間に元本を大幅に削減できる
- 固定金利との差が大きい場合:差が1%以上あれば変動有利の期間が長くなる
判断フローチャート:固定か変動かを決める5つの問い
- 返済期間は20年以上か? → Yes→固定有利候補 / No→変動検討
- 金利が2倍になっても返済できるか? → Yes→変動可能 / No→固定推奨
- 10年以内に大幅繰り上げ返済できるか? → Yes→変動有利 / No→固定検討
- 共働きで世帯収入が安定しているか? → Yes→変動許容 / No→固定安全
- 金利・経済動向を継続的に追えるか? → Yes→変動管理可能 / No→固定推奨
よくある質問(FAQ)
Q. 固定期間選択型(当初5年固定など)は損益分岐点に含めて考えますか?
A. 固定期間終了後に変動に移行するため、「固定期間中は固定金利・以降は変動金利」として分けて計算するのが正確です。当初固定型は両方の特性を持つハイブリッドです。
Q. インフレが進んでいる今、固定金利を選ぶほうが安全ですか?
A. インフレは金利上昇要因ですが、同時に不動産価値や収入の上昇要因にもなります。固定金利は返済額を固定できる一方、低インフレ時に割高になるリスクもあります。一概に固定が安全とは言えません。
Q. 損益分岐点を調べるシミュレーターはありますか?
A. 各銀行や住宅ローン比較サイトにシミュレーターが用意されています。金融庁の金融庁ウェブサイトでも住宅ローンに関する情報が提供されています。
まとめ
- 損益分岐点は「固定金利と同じ総支払額になる変動金利の平均水準」で判断する
- 借入3,000万・固定1.8%の場合、変動金利の平均が約1.3%以下なら変動が得
- 長期・不安定収入→固定、短期・安定収入・繰り上げ積極→変動が基本方針
- 判断に迷うなら当初固定型(5〜10年固定)という中間選択肢も有効
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